エピソード16 海外のアニマルパスウェイ
海外では、イギリスのNGO団体 PTES(People’s Trust for Endangered Species)が計画したワイト島での事例があります。これまでいくつかのブリッジを設置したそうですが上手くいかず、日本の設計図面を送付したところ、同様な構造で製作し、鉄道線路上にアニマルパスウェイを設置しました。設置して間もなくヨーロッパヤマネやアカリスが利用し、その模様はBBC放送で長時間番組となり、多くの視聴者にご覧頂きました。
エピソード17 「アニマルパスウェイと野生生物の会」設立と普及活動
2012年5月には研究者、企業OB、コンサル企業、一般市民などで「一般社団法人アニマルパスウェイと野生生物の会」が設立されました。多くの関心ある皆様のプラットフォームとして、アニマルパスウェイの開発と普及・啓発を目的とする団体です。特に国内の道路総延長は約128Kmありますので、多くの個所で様々な分断が生じており、野生動物のロードキルや交通事故が多発しています。
未来世代の子供たちに関心をもって取り組んでもらいたいと、「動物を救うアニマルパスウェイ」(文研じゅべにーる)が発刊されています。絵本や漫画でも皆さんに読んでいただいています。
もっともっと多くの子供たちにロードキルやアニマルパスウェイに関心をもってもらえるように今回はアニメ制作にも挑戦します。
エピソード18 IENE2016でベストポスター賞受賞
2016年9月 フランス・リヨンで開催されたIENE(インフラ・エコ・ネットワーク・ヨーロッパ)2016に参加し、これまでのアニマルパスウェイの取り組みをポスターで発表しました。湊会長が一生懸命説明し、代表理事もPCで映像を見せるなどで支援しました。そして、予想もしていなかったベストポスター賞を頂戴しました。また副賞として、「ROAD ECOLOGY」のハンドブックを頂きました。
エピソード19(終) これからのアニマルパスウェイ
紀勢国道(高速道路)では、工事で皆伐した地帯に棲む、ヤマネなどの樹上性動物のための植林を進めています。そこでは、樹林が回復するまでの間、朽ちても良いアニマルパスウェイ(「三重のわ」アニマルパスウェイと名付けています)が開発され設置されています。
国際的な霊長類学誌【Folia Primatologica】に論文が掲載
そして、これまでのヤマネトンネル、ヤマネブリッジ、アニマルパスウェイなどの取り組み成果が、今年(2022年)8月に、国際的な霊長類学会【Folia Primatologicaa (フォリア・プリマトロジカ)】の「Canopy Bridge(樹冠の橋)」の特集に、論文として掲載されました。
また昨年は、政府の海外向けのTwitterやFacebookにもアニマルパスウェイについて掲載され、少しずつ認知度も高まりつつあります。しかし、まだまだその必要性や意義を、広く認識頂くまでには至っておりません。より多くの森林や生態系の分断箇所に、広い意味でのアニマルパスウェイが設置されるとを期待したいと思います。
番外 ~シカの道路横断~ 道路を横断するシカの群れ
アニマルパスウェイに設置したモニタリングカメラには時として思わぬものが映ります。道路を堂々と横断するシカの群れです。
アニマルパスウェイ設置位置は過去にもシカのロードキルが見られたところに近く、もともと森の中の”けものみち”だったのかもしれません。
大型の野生動物との衝突は時として人も巻き込まれる重大事故にもなります。出来れば野生動物と出会う恐れのある場所はスピードを落として頂ければと思います。なるべくブレーキ操作で衝突を回避頂けると対向車とすれ違えるのではと思います。