エピソード6 アニマルパスウェイ実証機の建設
2005年10月、今度は実際の大きさと同じアニマルパスウェイを私道上に建設して、実際に野生動物が利用するかどうか、また積雪やつららなどはどうかなどの安全性を実証しました。
積雪の中、電源の無い森の中に、重いバッテリーを運ぶなど、メンバーは大変苦労しましたが、なかなか利用動物が上手くモニタリングカメラでとらえられませんでした。
エピソード7 ニホンリスやヤマネの利用を確認!
翌年5月、メンバーの一人がニホンリスの横断を撮影することに成功しました。実証機のモニタリング映像も撮れました。またヤマネも利用していることが確認されました。
リスの横断映像①(撮影大竹)
これによりいよいよ公道への設置提案です!
リスの横断映像②(撮影大竹)
エピソード8 八ヶ岳山麓(山梨県北杜市)で設置場所を選定
湊会長から北杜市長にお願いしていただき、市道上設置が決まりましたが、その設置場所の選定が重要でした。ニホンリスやヤマネ、ヒメネズミの生息を確認するため、道路際の森で食痕や営巣などの調査を実施、ロードキルや横断目撃なども考慮し、それぞれが好む樹木も選び設置場所を決めました。
屋根は下を人や車が通るので、積雪が溶けるような素材を使いさらにヤマネは森の枝を逆さに走るのが得意なのでフクロウなどの天敵から見えない工夫もされています。そして建設当日は研究会メンバーで本体を組み立て、運びました。ボランティアでご参加いただいた方もおられます。
エピソード9 森の生き物をモニタリング
アニマルパスウェイの設置と共に、モニタリングも同時に開始しました。やまねミュージアムに記録するレコーダーを設置し、そこまでの約700mはLANケーブルを敷設しました。すると設置18日目にヤマネが利用した様子がモニタリングされました。
◆アニマスパスウェイを渡る逆さヤマネ
まもなくヒメネズミも頻繁に利用し始めました。しばらくしてアニマルパスウェイと森を繋ぐ導入路を太くしたところニホンリスも利用してくれました。
◆アニマスパスウェイを渡るニホンリス
ただ、予想外だったのがホンドテンの利用です。ヤマネやヒメネズミの天敵です。実はホンドテンなどと出会ったら逃げ込めるような三角形のシェルターもアニマルパスウェイに備えてあります。
◆アニマスパスウェイを渡るホンドテン
森の中はどの生き物も、日夜生き残るために力を尽くしてます。
エピソード10 土木学会賞を受賞
土木学会では、1998年にヤマネブリッジを学会誌の表紙に掲載して頂きました。
そこで、土木学会賞に応募したところ、何百億というコストのかかる大きなプロジェクトと並んで、小さなコストのアニマルパスウェイが環境賞の名誉を得ることが出来ました。
アニマルパスウェイ研究会に弾みがつき、今後のさらなる開発普及を目指すことになりました。