アニマルパスウェイとは

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アニマルパスウェイ(ApW)とは?

森と命を繋ぐ架け橋プロジェクト「アニマルパスウェイ(Animal-pathway)」とは2004年に、経団連自然保護協議会のNGO/NPOと、企業の懇談会で出会った(財)キープ協会やまねミュージアム館長湊秋作と、ゼネコン2社で創設した「アニマルパスウェイ研究会」が作った造語です。Animal(動物)+Pathway(通り道)を連結しています。文字通り動物の通り道ですが、狭義ではヤマネやリスなど樹上性動物のための通り道を意味しています。当会では分断された森林をつなぐ、樹上性の野生生物の道「アニマルパスウェイ」 の設置および普及と、森林の生物多様性、保全活動の支援を行っています。

アニマルパスウェイ(ApW)の
普及、設置、野生生物の保全活動にご協力ください。

アニマルパスウエイ(ApW)の事例と地図

当法人では次の事例のようなアニマルパスウェイの設置についての普及やアドバイスを行って参ります。

名称(設置年月日) 写真 道路環境/仕様 利用動物
北杜市アニマルパスウェイ実証機
(2005年10月)
北杜市アニマルパスウェイ実証機 キープ協会私有地内私道上 ニホンリス、ニホンヤマネ、ヒメネズミ
北杜市アニマルパスウェイ1号
( 2007年7月)
北杜市アニマルパスウェイ1号機 市道大泉清里ライン(ポールラッシュ通り)
長さ13.5m、高さ6.4m、標高約1,450m
ニホンリス、ニホンヤマネ、ヒメネズミ、ホンドテン、ハクビシン、ヤマガラ、ヒガラ、コガラ、シジュウカラ、ビンズイ、カケスなど
北杜市アニマルパスウェイ2号機
(2010年3月)
北杜市アニマルパスウェイ2号機 県道11号
北杜富士見線(八ヶ岳高原ライン)
ニホンヤマネ、ヒメネズミ、ホンドテン、フクロウ、ハシボソガラス、ヤブサメ、シジュウカラなど
那須町平成の森アニマルパスウェイ
(環境省設置  2011年10月)
那須町平成の森アニマルパスウェイ 県道290号線
長さ14m、高さ5.6m
標高約1,000m
ニホンヤマネ、モモンガ、ヒメネズミ、キビタキ、コウモリ類、ザトウムシ、ナナフシなどの昆虫類など
名古屋市守山区APW
(名古屋市緑政土木局
2013年3月完成)
名古屋市守山区アニマルパスウェイ 市道210号志段味水野線
長さ14.5m 高さ7.5m
二ホンリス、ムササビ(未確認)
盛岡北道路アニマルパスウェイ
(国土交通省東北地方整備局  2016年11月)
盛岡北道路アニマルパスウェイ 国道4号線544.2kmポスト付近
全長35m、高さ7m
交通量 約28,100台/日
ニホンリス(利用可能16日後初認)
紀勢道尾鷲市仮設道路下
アニマルパスウェイ
(国土交通省中部地方整備局  2016年11月)
紀勢道尾鷲市仮設道路下アニマルパスウェイ 高速道路の工事用仮設道路下
両岸に川に平行に3基
二ホンヤマネ、ヒメネズミ
英国ワイト島アニマルパスウェイ
(PTES  2015.11)
Japanese inspired bridge sparks hope for Britain’s dormouse. 鉄道線路上 ヨーロッパヤマネ、アカリス
毎日わたしたちが使っている道
わたしたちにはたいへん便利なのですが、
困っている生き物たちがいることも知ってください。

アニマルパスウェイ(ApW)・ヤマネブリッジ位置図

アニマルパスウェイの概略の設置場所はこちら(PDF)▶です。

森林の生物多様性

日本国内の総道路延長は約127万km、鉄道の総路線長は約2.7万kmです。日本の国土に占める森林面積率は68%といわれています。すなわち多くの連続する構造物が森林を分断しています。

森林は生物多様性の豊かな生態系です。

森には、例えば国の天然記念物で準絶滅危惧種のニホンヤマネや、地域によっては既に絶滅した可能性の高い個体群に分類されるニホンリスなどの枝から枝を通り道にして棲息する樹上性の小動物がいます。わたくしたちが利用する道路などはその通り道を分断しています。時には道路を横断しようとする生き物たちを轢いてしますこと(ロードキル)も起こります。

一般社団法人「アニマルパスウェイと野生生物の会」は主にこのような樹上動物の保全とそのための方策としてのアニマルパスウェイの普及を目指しています。

樹上性野生動物とその現状

樹上性野生動物とは?

森林に棲む野生生物の中で、特に樹上で生活している小動物を樹上性動物(哺乳類)と云います。アニマルパスウェイの対象動物は下表のような動物です。またアニマルパスウェイを様々な昆虫や鳥類も利用しています。

写真 名前(学名) 
Wikipediaにリンク
 大きさ・特徴 環境省 RDB 都道府県RD 
ニホンヤマネ (Glirulus japonicus) ニホンヤマネ
(Glirulus japonicus
ネズミ目ヤマネ科ヤマネ属
  • 冬眠期間5-7ケ月
  • 夜行性
  • 体長6.8-8.4cm
  • 尾長4.4-5.4cm
  • 体重14-23gr
国の天然記念物 41の自治体でRDに記載
ニホンリス (Sciurus lis) ニホンリス
Sciurus lis
ネズミ目リス科リス属
  • 昼行性
  • 体長16-22cm
  • 尾長13-17cm
  • 体重 300gr
絶滅のおそれのある地域個体群(中国地方、九州地方) 19の自治体でRDに記載
ヒメネズミ (Apodemus argenteus) ヒメネズミ
(Apodemus argenteus
ネズミ目ネズミ科アカネズミ属
  • 夜行性
  • 体長6.5-10cm
  • 尾長7.0-11cm
  • 体重10-20g
IUCN RL:LC 4の自治体でRDに記載
ニホンモモンガ
Pteromys momonga
ネズミ目リス科モモンガ亜科モモンガ属
  • 夜行性
  • 滑空飛翔
  • 体長14-20c
  • 尾長10-14cm
  • 体重150-220g
35の自治体でRDに記載
ムササビ
(Petaurista leucogenys)
ネズミ目リス科モモンガ亜科モモンガ属
(写真は帯広畜産大浅利先生提供)
  • 夜行性
  • 滑空飛翔
  • 体長27-49cm
  • 尾長28-41cm
  • 体重700-1500g
23の自治体でRDに記載
ケナガネズミ (Diplothrix legata)
ケナガネズミ
(Diplothrix legata
ネズミ目ネズミ科ケナガネズミ属
  • 夜行性
  • 体長22-33cm
  • 尾長24-37.2cm
  • 体重400-680g
IUCN RL:EN
ホンドテン (Martes melampus melampus)
ホンドテン
(Martes melampus melampus)
ネコ目イタチ科イタチ亜科テン属
  • 夜行性
  • 体長40-55cm
  • 尾長15-20cm
  • 体重1.0-1.5kg
6の自治体でRDに記載

※樹上性の動物には他にエゾリス、ニホンザルなどがいます。

アニマルパスウェイを利用する動物たちのモニタリング調査をしています。
調査員として参加してくださる方は、
こちら(あなたも調査員)をご覧ください

ロードキル

道路を便利に私たちは利用していますが、もともとある動物の通り道(けものみち)をあちこちで分断しています。地方や都会の道路でも多くの生き物たちが、交通事故にあって轢死(車などにひかれて死んでしまうこと)したり、傷を負っています。現在、データが公開されているNEXCO三社のロードキルの件数は年間4万件余り、しかし、NEXCO三社の管理する道路は全国の道路総延長の1%にもあたりません。如何に多くの生き物が、私たちの交通社会の犠牲になっているか想像もつきません。エゾシカなどの大型動物などでは人の死亡事故も発生しています。
道路を利用している企業や市民の皆さんに気に掛けていただきたいと思います。
なお、ロードキルや傷ついた野生動物を発見した時は、自治体の担当部署に連絡すると良いでしょう。

ニホンリスのロードキル ロードキル
子ダヌキのロードキル ロードキル
エゾライチョウのロードキル ロードキル

道路の現状

日本の道路・線路と森林|アニマルパスウェイと野生生物の会

日本の道路の総延長

道路種別 総延長※1 実延長※2
高速自動車国道 9,165.0㎞ 8,358.3km
一般国道 65,795.5㎞ 55,432.2km
都道府県道 142,428.5㎞ 129,374.9km
市町村道 1,055,905.9㎞ 1,023,962.4km
合計 1,273,294.9㎞ 1,217,127.8km
  1. 総延長:道路法の規定に基づき指定又は認定された路線の全延長
  2. 実延長:「総延長」から「重用延長※3」「未供用延長※4」「渡船延長※5」を除いた延長
  3. 重用延長:上級の路線に重複している区間の延長
  4. 未供用延長:路線の認定の告示がなされているが、まだ供用開始の告示がなされていない区間の延長
  5. 渡船延長:海上、河川、湖沼部分で渡船施設があり、道路法の規定に基づき供用開始されている区間の延長

(出典:道路統計年報2014)