シンポジウムQ&A

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シンポジウム第2回「広げよう野生動物の歩道橋」
質問票に対する回答

 


Q.  ヨーロッパやオーストラリアの高速道路では動物が本線に入らないようなロードキル対策はやっているのでしょうか?
A.  オーストラリアの幾つかの道路ではフェンスを設けています。一方で、イギリスではフェンスなどによるロードキル対策は設けていないようです。


Q.  リスのロードキル対策ネットは効果がみられているのでしょうか?高さや材質はどのように決めたのでしょうか?木の支柱に上ってしまうように見えました。
A.  はい、効果はあると考えます。紹介事例では、リス用のネットは一本のケーブルでなく、ツイストを束ねてネットにしたケーブルを使用しています。場所にもよりますが、地上からの高さの基準はトラックの約2mに4mを加えた6m程度の高さを確保します。例えば、道路が低い位置にある場合は、地上からの高さは道路の低い分低くなり得ます。また材質は、紫外線による劣化のないUVガード対応の材質を使用します。木の支柱から繋げる際の接続部は、道路外の緑地上などとし、仮に転落しても道路に落ちない様にします。


Q.  英国の事例:スライドでヤマネのいる場所の地図があったが、生息地が飛び地としてある理由を知りたい。(紹介された活動によるものか?元の自然環境の特殊性などがあるのか)
A.  イギリスの飛び地の事例は、ヤマネの良い保護活動が行われた結果と考えます。特殊な自然環境などはありません。これは15-20年の適切なヤマネ管理によるものです。


Q.  オーストラリアの事例:かなり大きな動物も樹から樹に移る行動をすると知りましたが、このサイズの動物用にオーバーブリッジを作る考えはありますか?作れますか?作りたいですか?落ちてこないですか?
A.  事例では、鋼索を使用しています。これは非常に強度が高くオーバースペックを前提にしていますので、100kg程度までの荷重に耐えられます。人や大きな動物も利用できます。動物が落ちることはあり得えますが、今のところ落下の形跡は見られません。


Q.   オーストラリアやイギリスでの、ヤマネの法的規制はどのような効果があるのでしょうか?
A.   ロドニー氏:ヤマネの法的規制は、ヤマネを保護するだけでなく、その地域の生態系を守ると考えます。例えばもし道路の開発が狭域の際は、森林を迂回した道路を敷設することを検討できます。もし広範な地域への敷設が必要な際は、CO2の排出なども考慮すべきです。その際は、代替えとなる隣接地の森の確保などを検討します。代替えとなる隣接地の森は、単なる面積の代替え以上の考慮が必要となる場合があるかもしれません。例えば、元々の森が50ヘクタールでに200年の樹齢である場合、隣接の代替え地が1年の森であるなら、そこに500ヘクタールの森を確保するなど、生態系に与えるバランスを考慮する必要があるかもしれません。場合によっては別地区に森を確保することも必要かもしれません。
A. イーアン氏:イギリスでの法的規制の効果はあると考えますが、開発プラン時のガイドラインはあるものの、その後の実践的調査が十分になされているとは言い難いようです。長期にわたる効果調査は行政が主導して行うべきと考えます。


Q.  道路を作るときに環境アセスメントとして生態系への影響は入っているのでしょうか?
A.  道路事業に係わる環境アセスメント(※)では生態系の調査・影響予測評価を行うことになっています。
※:ただし、環境影響評価法でアセス対象になる道路事業は、①高速道路、②首都高速道路、③一般国道(4車線以上・10km以上)、④林道(幅員6.5m以上・20km以上)の大規模な道路で、生活道路などの小規模な道路はアセスの対象にはなっていません。
アセス対象になった場合は、「生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全」という項目で①植物、②動物、③生態系 について調査・影響予測評価を行います。
生態系では、地域を特徴づける生態系に関して、
1)生態系の上位に位置するという上位性(注目種の例:フクロウ、オオタカ)
2)生態系の特徴をよく現すという典型性(注目種の例:ヤマガラ、ニホンリス)
3)特殊な環境等を指標するという特殊性(注目種の例:樹洞性コウモリ類)
の視点から、注目される生物種等を複数選び、これらの生態、他の生物種との相互関係及び生息・生育環境の状態を調査し、事業の影響予測評価を行って、必要な保全対策を実施することになっています。
最近は、生態系ネットワークの保全が注目されており、道路により、動物の移動経路が分断されると予測評価された場合に、動物の移動路を確保する手段として、トンネル、ボックスカルバート、人工地盤、そして、アニマルパスウェイが採用されているケースが増えています。


Q.  ゲームばかりやっている子供に地球環境や生物多様性の大切さを教えるのはむずかしそう。絵本作家や童話作家の協力が必要かもしれません?
A.  現在でもたくさんの絵本がありますが、子供たちにそのような絵本に触れる機会をつくることも重要だと思います。当会では絵本パンフ「ヤマネのマルくん南の森へ」を無料で1万8千部、小学生などに配布しています。これからも続けていきたいと思います。また出版社との協力で絵本や児童書作りも行っていますが、機会があれば御紹介ください。


Q.  食品メーカー企業(特定の社名は割愛)がアニマルパスウェイに興味を持ってくれないでしょうか?企業を巻き込む流れができそうな気がします。
A.  多くの企業がサプライチェーンの中の流通などで、道路の利用は欠かせません。道路で困っている野生生物と企業はかかわりがあるのですが、そこに気が付いていただくのには時間が掛りますが、企業のCSR活動のお手伝いをすることなどで、協力支援を得られるきっかけづくりをしていきたいと思います。


Q.  矢竹さんの発表の中で移動路の固定というお話がありました。どのような共通点があったかお教えください。
A.  説明不足で恐縮でした。リスの通った樹木を1本1本記録しました。別の日に同じようにリスの通った樹木を記録したところ、前と同じ樹木を通っていたということから、移動路がある程度固定していることがわかりました。そのような移動路がいくつかありました。
詳細は森林野生動物研究会誌 41 2016年3月 P51~58 「ニホンリスの林冠移動と地上移動」という論文に掲載しています。


Q.  狭い地域内のパスウェイの有用性は理解できましたが、その種全体から見たときの貢献度はいかがでしょうか?
A.  まだ小さいほんの針の一穴にしかなりませんが、このような事例を増やしていき、道路管理者や道路利用者の意識を高めていくことにより、分断された森林をコリドーで繋ぐことが当たり前になれば、多くの種で遺伝子の多様性を保たれることに貢献できるのではと考えております。多くの皆様のご協力と連携が必要です。


Q.  橋を利用する動物目線で、なぜ橋を行き来する必要があるのか、どちらに住めばよいかなどの疑問への解答があれば御紹介いただければと思います。
A.  利用動物になってみないとわかりませんが、動物にとって最も重要なのは、どう生命を維持し、子孫を残していくかです。モニタリング映像を観察していると、道路の上のアニマルパスウェイを利用して頻繁に往き来しています。だんだん向こうの森への滞在時間が長くなる個体もいます。食糧や交尾相手の確保などで、そのためには森は広いほど良いのではと思います。そのためには、道路や連続するインフラは大きな障害になります、樹上性動物にとっては、本来林冠が連続していることが望ましいのです。